市職員の期末手当前倒し支給のための条例改正案可決

概要

  • 4月3日に市議会臨時会で市長提案の職員の給与条例改正案が可決された
  • 6月に支給する期末手当の一部を4月末に前倒しで支給する
  • 約1000人に一律20万円を支給
  • 桑名の医療機関の臨時ボーナスを受けての施策
  • 市税は市長ではなく市民の資産
  • 行政は全ての住民に対して公正・公平に行われなくてはならない
  • 反対・賛成議員一覧

医療機関の臨時ボーナス概要

  • 桑名市の医療法人財団「青木会」が職員らに臨時ボーナスを現金で支給
  • 正規職員に一律10万円、非正規職員には賃金などに応じ2万~8万円
  • 運営する病院や介護老人保健施設など4施設の全職員約260人が対象
  • 総額は約2500万円
  • 新型ウイルスの流行で落ち込んだ経済の活性化が目的
  • 使途を高額商品の購入や食事・旅行などに限定
  • 4月中に使い切るよう要請

「景気悪化への一番の薬はしっかりお金を使ってもらうこと。職員は緊張感を持って仕事をしており、ご苦労さんという思いもある」

青木重孝理事長が話した支給理由(新型コロナで臨時ボーナス=「経済活発に」―三重の医療法人)

市税は市民の資産

伊藤徳宇市長は以下のように説明している。

先般、当地の医療機関が、市内の経済活動を活性化させる目的で臨時ボーナスを支給したことが、全国的にも大きな反響を呼びました。さらに、この趣旨に賛同された民間事業者も、臨時ボーナスの支給を決定されました。
私といたしましては、こうした民間事業者の方々のご英断に深く敬意を表するところであり、市内経済団体に対しまして、民間事業者の皆様におかれましても、賞与の前倒し支給など可能な範囲で、さらなる消費喚起に繋がる施策をご検討いただくようお願いをし、地域経済の回復、活性化に向けて、行政も民間事業者も皆様とともに一丸となって、オール桑名で取り組んでいきたいとお伝えしたところであります。

市長提案説明(令和2年4月臨時会(会期日程・提案説明・提出議案等・議員別表決結果))

当然ながら、市の職員の給与は市税から支払われる。市税は市民の資産である。断じて市長の資産ではない。それとこれとが別であるとわからなかったのか。市民に混同しているように思われる時点で大問題である。

医療機関の取り組みは素晴らしいものである。誰にでもできることではない。趣旨に賛同された方も同様である。しかし、その善意を利用して市長が他企業に要請することには違和感がある。財産権に関わる問題である。安易に口を出していいとは思えない。「オール桑名」などという全体主義的な言葉を用いての要請など、もってのほかである。

職員への優遇

市長はこれを予算を伴わない施策としているが、支給額から前倒した分の利子を差し引くのでなければ、伴っている。
市長も認識している通り、市民の生活は逼迫している。仕事がなくなった人、満足に仕事ができない人、働いても収入が減っている人が大勢いる中で、まず行った政策が、職員への期末手当前倒し支給だった。明らかな優遇である。「市民生活の安定等に資する対策を講ずることを可能とする」などと、よく言えたものである。職員以外の市民には影響があるかすらわからない。

臨時ボーナスとボーナス前倒しは違う

臨時ボーナスだからこそ、使えるのである。職員の方々にもローンや学費の支払いなど、予定があるだろう。期末手当を少し早くもらったからといって、誰もが全てを使える訳がない。市長が謳う効果が期待できるとは、到底思えない。
職員の財産権も当然守られるべきである。もともと支給される予定であった期末手当の使途について、市長に口出しされる謂れはない。職員の財産を当てにして「地域経済の下支え」などと言ってもいいものか。

公正・公平な行政を

行政はすべての住民に対して公正・公平に行われなくてはならない。特定の団体への優遇は許されない。あろうことか職員への優遇である。
この非常時に市長がしたことを忘れてはならない。賛成した市議会議員も同様である。民意を表すには、(たくさんの署名を集めるのでなければ、)選挙しかないからだ。災害や感染症などで再度危機的な状況に陥った際に、まず職員に期末手当を前倒し支給されるのが嫌であれば、別の人に投票するしかない。職員に期末手当を前倒し支給したことが、評価されたと思われてしまうからである。

反対・賛成議員一覧

反対(10)

満仲正次(桑風クラブ)
諏訪輝富(桑風クラブ)
仮屋武人(桑風クラブ)
水谷憲治(桑風クラブ)
市野善隆(桑風クラブ)
佐藤肇(桑風クラブ)
松田正美(フォーラム新桑名)
石田正子(日本共産党桑名市議団)
多屋直美(日本共産党桑名市議団)
伊藤恵一(無会派)

賛成(14)

渡邉清司(絆)
冨田薫(絆)
辻内裕也(絆)
成田久美子(絆)
水谷真幸(絆)
渡邉仁美(絆)
森下幸泰(絆)
太田誠(絆)
倉田明子(絆)
南澤幸美(絆)
愛敬重之(フォーラム新桑名)
畑紀子(公明党桑名市議員団)
森英一(公明党桑名市議員団)
伊藤研司(無会派)

その他

伊藤真人(フォーラム新桑名):議長のため投票せず
近藤浩(桑風クラブ):欠席

出典

令和2年4月臨時会(会期日程・提案説明・提出議案等・議員別表決結果)
Yahoo!ニュース「食事券や期末手当前倒し 桑名市、新型ウイルス経済対策 三重」伊勢新聞
新型コロナで臨時ボーナス=「経済活発に」―三重の医療法人

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議員名の誤字を修正しました。大変申し訳ありませんでした。(2020.5.28.)